除夜の鐘

夜。
つのだ☆ひろさん宅で、
豪勢な年越しそばをご馳走になった後、ひろさんご夫妻と
元ジュディ&マリーのドラマー・五十嵐公太さんファミリーの
後ろを金魚の糞のようにくっついて、
赤坂の円通寺に除夜の鐘を突きに行ったのだよ。
円通寺は、江戸時代、当時江戸の町に時を知らせる鐘を突く
九つのお寺のひとつ。要するに由緒正しいお寺。

つのだ氏、五十嵐氏の二組の家族を車から降ろした後、
光太郎さんと二人、車庫入れ作業を終えてお寺に向かう。
途中、腕時計を見ると、0時05分。
「俺ら、ピーッピーッてバックしてる時に新年迎えたね。」
夜の空気に、白く浮かんだ光太郎さんの言葉が印象的だった。

除夜の鐘は108つ。人間の煩悩の数だけ。
ひろさんから手渡された整理券の番号は、
光太郎さんが87番で自分が88番。
「見て見て。末広がりで縁起がええで〜♪」
煩悩なので縁起もクソもないのだけれど。

「しかも、フィーバーやん♪」
「チッ。俺なんかリーチ外した気分や。」
煩悩ベッタリな二人。
『88』。見ようによっては、永遠にループし続けて、
悟りを開けない感も否めない。

_____ゴ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン♪
高層ビルに切り取られた東京の夜空に、
鐘の音が響き渡っていった。