こだわり-タオルケット編-

男の子は誰しも、多かれ少なかれ『こだわり』というものを
持っているわけで。他人から見ればどーでもいいようなそれを
大切にする生き物なのだよ。

自分の場合、寝る時に必ずタオルケットを丸めて、
それを首から頬、額にかけて押し当てたり、
抱きしめたり、頭にターバンのように絡めたりする。
タオルケット独特の肌触りと、ヒンヤリとした感触が好きなのだ。
また、このヒンヤリ感は買ってきたばかりのモノや
洗濯したばかりのモノでは到底感じ難く、
ある程度使い込んで、そのタオル地の表面がヘナヘナになり、
また多少湿気てから初めて感じ得る感触なのだよ。
布団や毛布はフカフカがもちろんいいのだけれど、
ことさらタオルケットに関してはヒンヤリに限る。

子供の頃、親戚の家に泊まりに行くと、その家の
「使い込まれたタオルケット」を何処からか引っ張り出して来て、
自分のと違う匂いに多少不満を感じながらも、
それはそれでやっぱり気持ち良かった。
大人になった今では、旅先に持って行くには荷物になるし、
外泊先で「使い込まれてシナシナなタオルケットある?」とは、
さすがに恥ずかしくて聞けないので、自分の家だけにしている。

初代のタオルケットは向こう側が透けて見えるくらい
ボロボロだったので、ある日元嫁が自分に内緒で捨ててしまった。
「ベランダに干す度に、近所の人に、
 犬でも飼ってるかと思われるでしょ。」

_____犬で結構。

現在の2代目も、たまに勝手に洗濯されたりする度に、
「ヒンヤリするまでに時間かかるのにぃ。」等と
子供のようにブーブー文句を言ったりもしたけれど、
今は自分が洗わない限りは、ヒンヤリ感は健在なので安心。

がしかし。
今朝、ベッドに入り、いつものようにタオルケットに
顔を押しつけた時、思わず「クサッ!」と言ってしまった。
そのまま、丸めたタオルケットを抱え洗面所へ。
で、泣く泣く洗濯をした。ベランダに干し、眠れなくなった体を
部屋の掃除でごまかしながら、乾くのを待つ。
天気はあまり良くなかったのだけれど、たまに日差しも射し込んで
いた午前中早くから干したおかげで、無事にとゆーか、悲しい事に
とゆーか、タオルケットはフカフカに乾いてしまった。

窓から遠雷の音が入り込む寝室のベッド。
その枕元に8ッ折りの状態で置かれたフカフカのソイツに対し、
何処となく他人との距離感を覚え、ギクシャクしてしまう。
「オマエと再び打ち解けるには、また時間がかかりそうやね。」

でも大丈夫。
3代目は洗わずにおいてある。