タマキン爺さん

先日、いつもの海岸で知り合ったご年配の日本人観光客Tさんへ。

浜から波打ち際に向かう貴方が履いていたそれが海水パンツではなく、
普通のブリーフだという事に気づいた時点で、ボクはこの後起こる事を
多少は予測出来ていたのかもしれません。
しかしながら、まさか貴方がそこまで潔い日本男児だとは、
知り合って間もないボクごときに理解出来るはずもなく、
ただただ事の成り行きを見守る他ありませんでした。
そして貴方が海から上がってこられたあと、
貸し浮き袋の影とはいえ、バスタオルも巻かずに
濡れたブリーフをおもむろに脱ぎ、フリチン姿になられた時には、
いつもは静かなビーチが一瞬どよめきに包まれたほどでした。
海岸に居た誰もが、そう、ブランコに揺られていたカップルまでもが、
生まれたままの貴方の姿を一瞬見ては、そこから視線を逃がす事と
その後の互いの気まずさを取り繕う事だけに集中し、
ボクと仲の良いボート屋の若いスタッフたちにいたっては、本気で
「アイツはクレイジーか!? ここはイスラムだぞ!」
貴方と同じ日本人であるボクに詰め寄る始末。
彼らのその言葉に対する満足な反論を見つけ出せない未熟なボクは、
敢えて
「彼は、いや彼こそカミカゼだ。」と一度は貴方を擁護する側に
立ってはみたのですが、当然のように周囲の動揺は収まらず、
このままでは日本とマレーシアの友好関係も危ぶまれると
危惧したボクは、真っ白いお尻をこちらに向けながら
濡れたブリーフをしっかりと絞った後、前屈みの状態でゆっくりというか
ヨロヨロとよろめきながらズボンを履こうとする貴方の
お尻の間のモノを指さし、わざと落ち着き払った態度で取り繕いながら、
こう言いました。

「ビッグワン。」(リバーブ深めで)

大先輩の貴方に若輩者のボクが忠告など本来は出来るはずも
ないのでしょうけれど、ひとつだけ言わさせて頂きますと、
ブリーフを絞るのはズボンを履いた後でも良かったのでは
ないでしょうか___________________。

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