思い出をなぞりながら帰京-前編-

甥っ子・弟の入学式についてゆく。
校門をくぐると大きなソテツの木が迎えてくれる、
そんな南国情緒だっぷりの我が母校である小学校。

そう言えば小学生の頃、此処の花壇のサルビアの花びらの蜜をチューチュー吸い、また次の花びらをむしってはまたチューチュー。それを繰り返し、すべてのサルビアの花の蜜を吸ったその午後、母親が学校に呼び出されたっけ。
ま、もっとも店に出勤前の母親が小学校に呼び出されるのは日常茶飯事だったので、サルビア全滅事件ごときたいした話ではない。

入学式を終え、新入生は教室に、父兄はPTAなどからの説明会の為そのまま体育館に残り、ボクは新入生でも父兄でもないので、そのまま一人で甥っ子・弟の教室の前まで行き、彼らの集中力を削がないように気配を消して、廊下から教室内でのおチビちゃんたちの様子を窺う。ま、つい先日まで幼児だった彼らに集中力もくそもないだろうと思いきや、中には担任教師の話をジッとおとなしくして聞く子もいる。今日初めて会ったばかりの知らない人の話をよくもまぁそんなに真剣に聞けるもんだ、と関心するその傍らで我が甥っ子・弟は机の上に両手を乗せてピアノを弾くフリをしていて、ちっともオバちゃん、あっ違った、先生の話を聞いていない。

説明会を終えた父兄たちが教室にやって来た頃、丁度自分も東京行きの飛行機の時間が迫っていた事もあり、校舎を後にした。
校舎の中庭の前で靴を履きながら、その懐かしい中庭の風景に大昔の記憶が蘇る。

立ったままブランコを漕ぎ、どれだけ遠くまでジャンプ出来るかを友達と勝負した結果、背中から落ちてしまい、病院に行くのかと思いきや、背中の痛みも取れぬまま職員室でこっぴどく叱られた事。

他のクラスのガキ大将グループ数人に虐められていた自分の子分的存在の友人を助けるべく、一人でソイツらに立ち向かったあげく、あとから駆けつけた上級生に自分だけたしなめられ初めて他人の前で悔し泣きをした事。

大好きだったあの子に何故か意地悪ばかりしていた事。

いろいろな思い出が走馬燈のように駆け巡る中庭を後にして、正門前に呼んであったタクシーで一旦実家まで戻り、スーツケースなどをトランクに積み込み、大急ぎで空港まで向かった。
で、急いでくれた運転手さんのおかげもあり定刻の時間までには余裕で空港に着いたのは着いたのだけれども____。

_______後編へ続く。