タバコの煙のその先で

帰りの飛行機チケットを破棄、そして新たに予約し直し、独り残った伊平屋島。他の宿泊客がとっくに居なくなった食堂で独り、遅すぎる朝食を食べながら窓越しに眺めるその青く澄み切った空と大好きなその海にも、独りでは行く気もせず、じゃあなんで独り残ったのかと問われれば、上手に説明出来る言葉も今は持ち合わせていないのだけれど。

午後7時半過ぎ。水平線に沈んだばかりの太陽と、これからやってくる夜とのそれぞれに染められ、鮮やかなサーモンピンク色と濃いグレーの入り混じる雲たちが浮かぶ絵画のようなその西の空を、島の釣り仲間たちを乗せ港に戻る船の上で眺めながら、この綺麗な夕焼けをアナタにも見せてあげたいと思うと同時に襲ってくるその現実を誤魔化す為だけに火をつけたタバコをくわえ、大きく息を吸ってはゆっくり吐いてはみるけれど、そのタバコの煙でさえ、ため息までは隠しきれない伊平屋島沖_________。

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