おとぎ話と現実のボーダーライン

9月の連休前からFaceBookの方を開いてもおらず、1度抜けたあの大きな縄跳びの輪の中に再び飛び込むタイミングを逸したまま早くも11月。FaceBookの方はマレーシアの友人らとの連絡帳代わりに始めたという事もあり、始めたきっかけがその程度なので、FaceBookだけでしか繋がっていない方たちには申し訳ないのだけれど、取り上げて面白い出来事が無い限り、もう暫くはグルグル回る大縄の前でリズムに合わせて首だけ動いている状態が続くと思うのだよ。

いや、身の回りで面白い出来事は結構起こっていて、先のハロウィンの夜だったか、自宅に戻る乗り継ぎ駅のホームで妖精の仮装をした10人ほどの若い女の子の団体が、女の子らしくキャッキャ言いながら電車を待っていたのだよ。
その妖精のコスチュームがミニスカートだったため、同じホームで電車を待つオジサンたちは一様に目のやり場に困っていたのだけれど、そんな中、リュックサックをきちんと背負った小太りの若い男性がその両肩に通したリュックの紐に親指を引っ掛けた昭和なポーズで、ミニスカ妖精の団体に近づいてゆき、上半身を左右に揺らしながらキラッキラした瞳で「あいにく持ってるお菓子がないんであげられないよー。」と、突然話しかけた。
さっきまでキャッキャとはしゃいでいた10人ほどの輪が一瞬でキュッと中心に固まり集団防御態勢をとるミニスカ妖精たちと、そんな女の子たちの反応にめげずに、いや、そもそもそれに気づく能力が最初からこの男性には備わっていない事が誰の目から見ても解るぐらいキラッキラした瞳でまた「あいにく持ってるお菓子がないんであげられないよー。」とさっきと同じ台詞を繰り返す男性。上半身揺れっぱなし。親指きっちりリュックの紐。瞳キラキラ。さらに固まる妖精の輪。

「キミがお菓子持ってる持ってない別にして、そもそもあの子ら"トリックorトリート"すらキミに言うてないし。それフライングやし。」

心の中でその男性にツッコミを入れた後、乗りこんだ電車の車内。つり革に持たれながら、実は彼は何処かの王国の心優しいイケメン王子で、悪い魔法使いの魔法であんな姿にされ、いやいや、それとも神様がわざと妖精の資質を試す為にハロウィンの夜に遣わした使者で、どちらにしろそれを見抜けなかった彼女らは全員妖精失格なわけで、と勝手な妄想は止まらぬまま電車は自宅のある最寄り駅に到着。

ま、相手がどうであれ、その不快さをすぐに表情や言葉に出すミニスカ妖精たちよりも、キラキラした瞳を持つあの男の子の方がボクからすればよっぽど本物の妖精に見えたというお話_____。

日記