荒っぽいけど素敵な文化

こちらパンコール島の二パー湾では夕方近くなると、時折、数隻の木造の大型漁船が目の前の海上を行ったり来たりして小魚の群れを探し、群れを見つけると其処に網を張るために円状に旋回し、しばらくすると、機械で網を巻き上げる。
この時、ボクらビーチボーイは一斉にバケツなどをボートに乗せ、沖の木造漁船を目指して我先にと真っしぐらに向かい、その後、漁船の側に到着順に容器を船員に手渡し、小魚を分けて貰う。順番を守らないヤツは、ボート後部のスクリューを水面近くに上げ、水しぶきをかけたりして追い払う。大型漁船が起こす波で揺れる沖合いで互いのボートをぶつけぬように待機するのは、素人のボクには至難の技で、ギアを前に後ろに舵を右に左にと独りアタフタするボクを、周りの舟の男たちが鼻で笑うけれど、こちとら必死なんじゃボケッと言う言葉を奥歯で噛みしめ、強がりの笑顔を返す。ホレ、お前の番だ‼︎早くそのバケツをよこせ‼︎と荒くれ者の船員が怒鳴るけれど、波で揺れる海上で舟を操船しながらバケツを手渡すのに四苦八苦なボクを他の舟のビーチボーイが助けてくれる。お裾分けを容器に貰って「有り難う‼︎」の言葉を舟先に投げた後、波で揺れる漁船から離れ次々に浜辺に引き返すボートの背後に広がる夕焼け空が今日も綺麗だ______。