別れの夕食

とうとう明日、この島を離れ首都クアラ・ルンプールに戻る。
ということで、今夜は島の中華レストランでノンさん一家と最後の晩餐。
エビチリ、渡り蟹の揚げ物、牛肉の炒め物、サテー(焼き鳥)等々、
みんなで腹一杯食べて楽しい一時を過ごした。

実は今日の日中、旧正月休みでこの島を訪れていた華僑観光客の子供が、
海水浴中にボートのスクリューに巻き込まれ死亡するという島で初めての
海難事故が起きてしまった。
明日から、ノンさんをはじめ事故とは関係の無いこの島のボート屋全員が
事情聴取されるそうな。大変だね、ノンさん。

今までもあわやという場面はビーチの各所でたまに見られ、
問題にはなっていたらしく、この事故をきっかけに、
海水浴客の泳ぐ場所とボートが走る場所を区切るルール作りに
一気に拍車がかかりそうだ。
「ルールかぁ・・・。そんなの無くっても十分安全に
 みんな楽しくやってこられたのにね。」
というボクに対し、
「だんだんこの島も変わってゆく。それも仕方ないさ。」と、
ノンさんが寂しそうに遠くを見つめながら言った。
その口からイカの足がはみ出てはいたけれど___________。