ボクらに次はまず無いけれど

50年後。
医療技術や科学技術の発展は、こんな不摂生な暮らしを重ねるボクらの命までも生き永らえさせるのだろうか。

「その頃はもう身体のほとんどが機械で、ひょっとしたら足にキャタピラとか付いちょって、此処の石階段もスイスイ上れるかもしれんでね。」

BARのオーナーでもあり昼の陽射しと縁遠い同級生と並び上る寺の石階段。
そんな小学生低学年レベルの空想でしか「自分らにはまず無い未来」を語れぬ哀しきオヤジ二人のすぐ背後で、彼と同じBARで勤務する、ボクらより歳がひと回り以上も下の女店長が鼻で笑う。
季節外れの暖かい陽気だけが背中を優しくさすってくれるも、そんな年寄りに対する労りも邪魔くさい。ボクらはまだまだ頑張れるっちゅーの。ま、騙し騙しではあるけれど______。

あと20日も経てば、次は50年後の春にしかお目にかかれない文殊菩薩像を秘仏本尊とする竹林寺(高知市五台山・四国霊場三十一番札所)の本堂の前にて。

日記