海老刺し→のち→カオス

正午過ぎ。
今帰仁・運天港からフェリーで約1時間20分、伊平屋島・前泊港に無事到着。

午後日中。
昼飯を港の居酒屋で済ませ、車3台を連ねて全員で島内観光。
といっても、ほとんどのメンバーがもう見飽きているほど来ているのに、やっぱり何度回ってもこの島は良い。島の外周を1周出来る道路が整備されているのも伊平屋島の良い所。
途中、パワースポットでもある『クマヤー洞窟』の入り口まで数年振りに階段を上り、今回の旅の全員の無事と、今回最大の目的である『いへや祭りLIVE』の成功を心の奥で祈る。
おお! なんだかパワーがみなぎってきたぞ!!

午後夜。
宿で夕食を済ませ、馴染みの居酒屋へ移動。
今月解禁になったばかりの海老の刺身を囲みながら、賑やかな夜は更けてゆく。
さぁ、宿に帰って明日からの為に早く寝ましょ寝ましょ。みんなで島草履をペタペタと、波の音を連れて海からの夜風に吹かれながらの宿までの帰り道、その波の音を掻き消す携帯電話の呼び出し音が鳴った。

透きっ歯ー(スキッパー)峰男からの「ホテルの近くの灯りのついてる所で呑んでるからよ、待ってるしー。」という、他人に場所を教えるには曖昧過ぎるその電話の言葉に辺りを見回すと、宿の門をくぐるみんなとは別の方向、100mほど離れた暗闇の中で確かに一箇所だけ灯りが灯されている。その場所を目指して独り歩いてゆくと、工事用ライトを道路脇の芝生に転がしてアッパーライティングな小洒落た演出の中、ビールケースの上に板を敷いて呑んでいました酔っ払いスキッパー峰男とその仲間たち。

峰男喋る、抜け落ちた歯の隙間からシューシュー喋り続ける、同じ話題を延々と。そんな峰男の話を遮るかのように、ボクはボクで初対面のオジィ二人に話しかけるけれど、一人は島特有のシャイなオジィで、一向に口を開こうとせず。もう一人とはなんとか会話が成立するレベルなのだけれど、その合間合間で、ボクの隣のスキッパー峰男が「だからよ。」という枕詞を合図に再び同じ話題を喋りだす。
そんな、まるで古い歌謡曲のひら歌部分を繰り返し聴かされるような無限ループと、ボクの対面に鎮座するも2時間経ってまだ声すら聞けていないシャイなオジィの懐柔に、昼間クマヤー洞窟でせっかく蓄えたパワーもすっかり使い果たし、ややもすると口から魂が漫画のようにポワ〜ンと出て来そうになるボクの横っ面を煌々と照らす工事用ライトの灯りの向こう側、闇の中で小さく崩れる波の音だけが唯一の救いだった午前0時半の海岸通り___。