聴いてくれる誰かが居る限り

さて、夜が明ければいよいよパンコール島滞在最終日。

この2ヶ月半、イカ釣りばっかでアンタちっとも唄ってないぢゃないの、アンタ本当に歌唄いなの?バカなの?とお思いのアナタ。ノンノンノン。陸に上がればほぼ毎晩、海岸通りで現地の仲間と一緒に弾き慣れぬクラシックギターとカホンで唄ったり、結婚式や自分の定宿とは違うホテルに呼ばれて唄ったりしてたのだよ。

「ギャラの有る無し関係無く、どんなシュチュエーションでも本気で唄わないとその時間そのものが無駄になるし、積み重ねてきた自分の経験までが無駄になる。」
かつて、そう教えられてから、どんな場所でもどんなジャンルでも手を抜く事なく気を緩める事なく唄ってきたつもりで、此処パンコール島でも唄い終わればいつも、さっきシャワーを浴びたばかりなのに、また浴びないかんがな、とため息が出るぐらい、それはそれは本気で唄っていたのだよ、聴いてくれる誰かの為に。
時に通りすがりの欧米人を含む観光客。時に結婚式会場で手を叩いて喜んでくれる出席者。みんなそれぞれにボクの歌を楽しんでくれるのは、唄っているこちらも嬉しく、そして何よりミュージシャン冥利に尽きる。

その中でも一番自分が嬉しいのは、ボクがそのメロディーを唄い時始めた瞬間に、一層キラキラした眼差しと笑顔のリアクションをこちらに返してくれる子供たち。その瞬間が一番楽しいし嬉しいのだよ。ま、曲は「ドラえもん」なのだけれども。

さて、明日の最終日も思い切りボートをかっ飛ばして、そして思い切り唄おうかね、聴いてくれる誰かの為に______。